学生ノート
佐久総合病院を尋ねて
中村 ヒサ子
1
1静岡県立厚生専門学院保健婦学科
pp.62-63
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203296
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念願がかなえられて
秋晴れの9月11日,修学旅行を兼ねて私たちは佐久総合病院を訪れた.千曲川の上流アルプス連峰を背にした総合病院は,佐久平一帯を占める農民の健康の鍵を握る病院である.一般診療はもちろん,予防医学にまでその分野を広げ,日々たゆみなく農民の中にその活動を浸透させ,近代病院の道標ともなってその名を全国にまでとどろかせているのである.新聞やテレビで,また専門雑誌でその名を知った私たちは,以前からの念願がかなってこの見学が実現したのである.保健婦の卵である私たちの見学の目的は,「病院において公衆衛生活動がどのようになされているか」にあった.「病院の町」「農民の病院」その名が示すように,人口1万6千人中500床の大きな病院は,先入知識以上にすばらしいものであった.
まず病院にその第1歩を踏み入れての第1印象は,"なんと花のきれいな病院だろう"ということであった.どんな裏庭にも花が整然と植えられており,建物も古いとはいえちり1つなく,そこに病院に働く人たちの心根が感じられたのである.そしてこのような病院の院長さんとはどんな方なのかと人がらが忍ばれた点でもあった.
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