特集 国保保健婦
国保保健婦活動の現状
某市における保健活動の組織化
富田 佳世子
1
1東京大学医学部衛生看護学科
pp.30-34
発行日 1964年12月10日
Published Date 1964/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203272
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はじめに
国保保健施設活動は,国保加入者のための活動に限定されるべきではなく,市町村における地域保健活動の有力な資源となることはいうまでもありません.しかし,今までともすれば国保施設活動というと,保健婦の仕事ということで,そのいっさいが保健婦にまかされてきました.しかし,地域の保健活動も,予防や健康増進のための活動を中心に,早期発見,早期治療,リハビリテーションなどとしだいに拡充され,地域の特殊性にもとついてこうした働きを展開してゆこうとすると,もう私たち一人だけの働きではどうしようもなくなりました.それは私たちに能力がないとか,やる意欲がないからとかいうのではなく,事業が総合的なものになればなるほど,いろいろ質のちがった能力が必要となるからです.事業をすすめるために必要な,自分の周囲にあるいろいろな能力を結集して有機的に仕事を分担することを組織化とかチームで働くとかいいますが,地域保健活動を展開するに当たっては,この組織化はきわめて重要な要素であるといえましょう.すでに日本医師会は,ボランティア活動としての公衆衛生活動や健康教育活動に関して2,3の実績を重ねていますが,まだ特殊の事例--大阪,群馬など--にすぎません.私たちは,最近四国地方某市の保健活動の展開において,大学,保健所,社会保険病院,医師会などの諸機能を組織化した事例を経験しましたので,ここに報告して諸姉の御斧正を乞う次第です.
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