特集 救急処置
災害
溺水・咽頭の異物・創傷・火傷
藤田 五郎
pp.14-16
発行日 1964年8月10日
Published Date 1964/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203174
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溺 水
溺水は一種の窒息なので,一刻も早く呼吸を回復してやらなければならない.水からあげるためにいたずらに時間を費してはならないし,もちろん胃にはいった水を吐かせることなどは必要でない.
(1)人工呼吸法のうち,どの方法が溺水の救急処置に適しているかは,それぞれの場合によってちがうが,溺水者を救助すると中で一吹き入れることができる"吹きこみ人工呼吸"(第1図)は何といっても便利であろう.舟の上からでも同じように施すことができるわけである(第2図).水から引きあげるために数分ぐらいはすぐたってしまう.もちろん,いろいろな事情で"吹きこみ人工呼吸"ができないときには,用手人工呼吸を行なうこともあるが,嘔吐なども考えて,伏臥位にしてねかせたうえ,顔を横向けてシルバー・ニールセン法を試みるのが効果的であろう.蘇生器が手もとにあれば理想的である.濃厚な酸素を十分に肺胞に送ってやることができるからである.
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