特集 保健所保健婦
地区の要求にこたえる働き方をめぐって
保健指導を考えなおす
疾病管理と家族管理
額田 要
1
1岡山県・西大寺保健所
pp.52-55
発行日 1963年3月10日
Published Date 1963/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202779
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はじめに
近年の社会的傾向として最も特徴があると考えられることは,日常生活の意欲的な革新である.しかしこの生活の革新が,結果的には生活が統合されることよりも,むしろ分化していく過程として感じられることである.この傾向は技術革新が中心となって回転しているため,自然科学の分野により強く現われている.
かかる見地から公衆衛生活動に目を向けてみると,衛生行政の上にも,こういったきざしがあるのではなかろうか.公衆衛生行政は本来,関係のある科学技術を行政組織を通じて,住民の生活の中に導入する社会的過程であると,いわれている点より考えるならば,多面性をもつ個々の技術が,(住民の要望,および,その組織を通じてのニードとして現われる現実の問題に関連して,行政組織をとおして)如何に活用されていくかという事に,そのポイントがあると考える.しかし業務別の分割傾向が,行政の上にも現われて縦割の行政が,身近かに強調されすぎるきらいを感じている現在,総括的業務が使命とされている保健婦活動を考えあわせるならば,ややもすればその逸脱された.また,逸脱されつつある現状を深く認識して,保健婦業務,特に家族管理を中心とした.疾病管理のあり方についての検討を加えてみたくもなる.
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