特集 事故を防ぐために
心得ておきたい外傷救急処置の手技
藤田 五郎
1
1陸上自衛隊衛生学校戦傷外科
pp.51-55
発行日 1961年8月10日
Published Date 1961/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202387
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1.まえがき
従来,外科的救急処置としていろいろな手技があげられています.たとえば,止血法,包帯法,副子法,人工呼吸法,患者搬送(輸送)法などです.しかし,これらの手技の意味をよく考えてみますと,"大災害に多い外傷の救急処置"の項でのべましたように"救急処置に必要な4要素"すなわち,呼吸の維持と回復,創面の被覆保護,受傷部の固定による疼痛や組織損傷進展の阻止,さらには止血や体位の維持による循環の回復という目的を達成するための技術であります.この4要素は決してバラバラのものではなくて,たがいに関連をもつているので,悪循環をくりかえしてその果てはショックなどを発して悪い結果をもたらすことになるものです.だから,これらの手技を個々にもりだくさん知つていることも,ときには必要なこともありますが,「いざ」という場合本当に役立たせて「救命」を図るためには,その手技の真の意味を十分理解しておくことが大切です.ことに保健婦の皆さんのように,独立して行動しなければならない機会が多いとか,一般の人たちに教育指導する場合が少なくない方がたには重点的に,また,実際に役立つ手技について平素から理解し,修得しておくことが必要であるといえましよう.こういつた意味で,それぞれ,代表的な手技についてその要点をのべてみたいとおもいます.
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