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主婦の力で生活改善
J. H
pp.23
発行日 1961年8月10日
Published Date 1961/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202380
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埼玉県の川越駅から約4キロメートル離れた川越市鴨田字中内路(かもだあざなかうつろ)部落に,主婦たちの生活改善グループ「新生クラブ」が誕生したのは,昭和32年4月26日であった.忍田しげさんを中心に9人の主婦がお寺の一室に集まつて,自分たちの生活の無計画,不合理性をなんとか打ち破ろうとしたのがそのはじまりで,いまではクラブ員37人にまで発展し,農繁期に共同炊事を実施すること8回,それと同時に開設してきた農繁期保育所も,ことしからは常設の保育所となつた.
この部落は総戸数60戸(非農家15戸),ほとんどが農家で,1戸当たりの耕地面積平均1.5ヘクタール,水田はすべて二毛作,そのうえ養蚕も盛んで,県下では平均耕作画積の最も大きい階層に属している.したがつて農繁期における主婦の重労働は,肉を削りとるような体力の消耗をまねき,睡眠時間は平均5時間10分,農作業と家事作業の合計時間はなんと平均17時間32分にも達する有様であつた.そうした歪んだ生活を改善するため,「新生クラブ」がまつさきに取り上げたのが村の共同炊事で,毎月クラブ員1人100円ずつの農協貯金をはじめ,その7〜11月の貯金で秋の農繁期の共同炊事を,12〜6月の貯金で春の農繁期の共同炊事を計画的に実施することにした.
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