現地報告
草深い農村に8年
川口 フジ子
1
1宮崎県北諸県郡山之口村役場
pp.54-56
発行日 1960年6月10日
Published Date 1960/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202115
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宮崎市から日豊線で南下すると約1時間で私の勤務する村がある.総面積97.67km北諸県郡山之口村という名の示す通り,大半以上を山村で被われ,世帯数1783戸総人口9200名で全戸数の3分の2が農業となつております.副業として,男子は山村その他の雑役に従事し,女子は農閉期並びに夜を利用して薪取りや炭俵造りを営なみ,経済面を助けて生活している一寒村でありますので経済的にも,地理的にも,アンバランスな食生活が続きまた山村の激しい労働によつて疾病率は増加するばかりでした.
村民は封建性が強く,殊に結核などは,遺伝病として恐れ嫌がりながらも集団検診等を利用する人は,申訳ていどの人員しか参加しませんでした.そこで私は,国保の診療報酬明細書による病類別統計をつくり,参考にいたしました.その結果は,消化器系が断然多いのに驚きそこでその予防点に重点をおきまして,疾病の原因は,種々ありますが,取あえず,一番害になり易い,寄生虫予防に重点をおきまして,31年度の予算に,保健施設事業費を計上していただきました.以上村民の好評と,その後の要望により,3カ年間,寄生虫集団検便,集団駆虫を続行いたしました.その経過並びに結果は次の通りになります.検便法は食塩水による,浮遊法で実施しました所,鈎虫保有率43%,回虫保有率30%という結果がでました.
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