書評
今村 栄一 著—「看護管理」を呼んで
金子 光
1
1厚生省
pp.36-37
発行日 1960年5月10日
Published Date 1960/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202090
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こんな話をきいたことがあります.始めて外国旅行をした人が,訪問先の国についての感想なり,批判なり書くにあたつては,一週間滞在した人は最も意欲を高めて意見を書くものであり,一カ月滞在した人は,いささかちゆうちよしながら書き,一年間滞在した人は,書く勇気と意欲を失つてしまうということです.
この気持は何か理解できるように思います.しかし,一週間なり,一カ月なり,又一力年なり,それだけのものなりに深さも広さもあつて,それなりにやはり書けるのではないかとも考えられます.又,それに慣れきつていないということ,即ち,その立場にないか,或いは,その渦中に入り込んでいるかということは,むしろ第二,第三者の立場として,雑音などにわずらわされず,真直ぐにそのものがみえるという得点があるともいえましよう.本書の著者が,病院の臨床に従事していられる医師であるということも,うなづけるところと思います.
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