書評
三歳児—幼児の保健指導(第2版)—編集:船川幡夫 今村栄一 山下 章
清水 寛
1
1小石川保健所
pp.61
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204112
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本書の初版の書評を書いてから4年あまりになる。そのころは適当な幼児保健指導書がなかったので,この書はあらゆる職種の小児保健関係者の渇いやし,わが国の幼児保健指導に大きな貢献をもたらした。身体発育や疾病予防とならんで,子供のこころの発達や良い習慣のしつけの面が強調されていて,本書はよい教科書であり,ある場合は瀬としての役割もはたした。私の知るかぎりでも,本書を豊富にそろえ,十分に活用してきた保健所では,乳幼児保健事業にめざましい成果をあげている。のみならず,ここ数年間に発表された多くの論文にも,本書の記述が引用されている。4年前,「まさに名著」と評した私の言葉はあやまりではなかった。
三歳児健康診査が全国で実施されるようになってから10年に近い。この間における社会状勢の変化はいちじるしい。そして三歳児健診の現状は,特に精神発達,社会性発達の診査の面で,まだ必ずしも満足すべきものではない。しかし1964年(札幌)の日本公衆衛生学会でシンポジウムとしてとり上げられた当時からみれば,健診の水準は,スクリーニングの面でも事後指導の面でも着実に向上しつつあると言えよう。このことは,最近の小児保健学会や日本公衆衛生学会の諸家の報告にてらして明きらかである。
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