特集 事業所保健婦のすべて
私の職場
私は事務員保健婦—白いキヤンバスに描いて来た一筆一筆
竹花 光子
1
1塚本商店
pp.43-46
発行日 1959年12月10日
Published Date 1959/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201990
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保健婦の保の字も知らない職場に,人事課事務員の資格で入つた,若い保健婦の手記である.この1年,それは真白いキヤンバスに一筆一筆色を塗るに似ていたと彼女はいう.仕事の開拓という面からも,職場の人々が保健婦を見る目からいつて,全く白いキヤンバスに筆を下ろして,何かを創り出す過程と同じであつただろう.彼女は空恐しささえ感じたという.時には雑務をしながらも,こうした企業体にいる保健婦はうき上つてはいけないという.この結論をみんなでかみしめてみたいと思う.
事業所保健婦と申しましても私の場合は,衛生管理有資格者である総務部人事課付の女子事務員という事になつております.他から考えますと何と馬鹿馬鹿しいといわれるかも知れませんが,此の中に入つていますと時には考えさせられますが,しかし名称とか,資格とかをとやかく申す前に,先ず仕事をする事だと思います,勿論保健婦であるというプライドは忘れてはおりませんがそれを相手方に強いて押しつけたところで下手に敬遠されてしまうだけで,会社という一つのかたまりの中に溶けこみ保健婦としての仕事をして行くのに別に必要欠くべからざるというものでもありませんでした.
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