扉
烏は白い
久保田 紀彦
1
1福井医学大学脳神経外科
pp.1133-1134
発行日 1992年11月10日
Published Date 1992/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900549
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『烏は白いってほんとうか?』
『そんなことあるわけないだろう.』
『そんなことを言われても,おまえ,はいそうです,と言いながら医者をやっていける自信があるか?』
私の学生時代には,医学部の,とくに臨床の教授は,強引な持論を医局員に押しつけるとの噂があった.その真意はさだかでないが,若い医局員は,教授の意見が間違いだと思っていても,恐ろしくて教授に言う勇気がないので,『はいそうです.』と言わなければならなかった「たとえ」であろう.私は内心大変な世界に足を踏み入れたものだと,ぞっとするときがあった.しかし,私が学生の時には「ほんとうに鳥は白いことがあるのか?」と問い直す思考の余裕は無かった.
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