特集 母と子をまもる保健婦
保健所の母子衛生を診断する
松尾 正雄
1
1厚生省母子衛生課
pp.7-10
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201852
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保健所を訪れて母子健康相談(クリニック)の場面に出あうと,何かほのぼのとした暖い雰囲気を感ずるのは私だけであろうか.
乳児を抱いた母親の姿そのものが人の心を和やかにするものではあろうが,それよりも乳児の健康を願う母の心がその雰囲気をかもし出しているからのようだ.「どこか具合でも悪いのですか」と尋ねても大方の母親達の答は,「発育状況を確めたいから」とか「いつも来ているので,来て見ないと何となく気が落付かないので」というものであろう.ここに保健所というものを信じ,その働きを全く素直に受け入れている人々の存在に気がつくのである.特別の許可,認可や,手続きのために来る人とは異つて,保健所のサービスを何等の引換条件なしに受取つている人々である.保健所が地区の人々と最も親しい結び付きを実現し,地区の人々が保健所の「良さ」を感じ取る点において,母子衛生事業は最も大きな役割を果していると考えてよいであろう.
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