特集 母と子をまもる保健婦
保健所の母子衛生を診断する
砂田 恵一
1,2
1東京都小児保健研究所
2昭和女子大学児童教育研究所
pp.11-14
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201853
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このようなテーマを編集子から与えられたのは,どうしたわけだろうか.戦前保健所の仕事にたずさわつていたことがあるという因縁かもしれないが,既に以前のことで,当時の保健所の仕事の内容と現在のそれは,随分ちがつている.わたくしは小児科医の立場から,予防医学的に何事も考えていた.その考え方は,そのときと今も少しも変つていない.戦後には保育医学研究会という.地域の母子衛生団体を結成して,ささやかながら私製保健所のような社会奉仕をしているくらいだ.
今日保健所がめざましい発達をして,全国にその網の目をひろげ,国民の保健衛生のためにつくしていることはありがたいことだ.その開拓者は昭和の初め頃,聖路加病院の斎藤潔先生(現公衆衛生院院長)を中心とする一連の同志であつたかと記憶する.当時そのモデルとして,東京築地明石町に京橋保健館が,又埼玉には所沢に同様保健館が発足した.それからのち,妊産婦乳幼児の健康相談所,簡易保健相談所,結核予防相談所など各所の施設が統合されて保健所網が出来た.大戦で殆んど破壊されが,戦後改めて22年に保健所法が全面的に改正されて,今日飛躍的に発達した.現在全国に784カ所の保健所が設置されて,日夜目ざましい活動をつづけている.
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