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国民皆保険と保健所—第13回日本公衆衛生学会より
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pp.36-40
発行日 1959年1月10日
Published Date 1959/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201792
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はじめに
秋もたけなわの10月18,19,20日の3日間,第13回日本公衆衛生学会が九州福岡で開催された.全国各地から集まつた人々は数々の多彩なテーマを発表し,活溌な討議が行われた.第1日目は雨にたたられたが第2日は心地よい秋日和だ,昼の休みなどには広い九州大学の芝生に久しぶりに会う人々のにぎやかな談話が流れ,明かるいひとときでもあつた.
保健婦の出席も多く,第7〜8回までの過去の学会が殆んど男性でしめられていた頃を回想すると今昔の感がある.当時発表の中では「保健婦に訪問させて調査した.言々」といつて言葉がよく聞かれたものだつた.この研究のかげに幾多の保健婦の献身的な姿をおぼろに想像されるのみで,その人々は学会には名前すらのぼらなかつたのである.10回頃からはぼつぼつ共同研究者としての保健婦が名をつらねるようになつたが,なんといつても劃期的と言えるのは第11回の名古屋における「公衆衛生の隘路を語る」のシンポジアムであつたろう.さしもの広い名大の講堂も1・2階とも正に立錐の余地もないほどの盛況で,ことに保健婦の体験から出る言葉はいたく人々の心をうつたのだつた.このことは保健婦に学会活動をはつきり自覚させたのではなかつたろうか.続く大阪に於ける第12回学会では保健婦活動のシンポジアムが,これまた立錐の余地ないほどの人を集め,多くの保健婦以外の人々をも加えて真剣な討議が重ねられた…….
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