講座
寄生虫の集団検査
小宮 義孝
1
1国立予防衛生研究所
pp.11-13
発行日 1958年10月10日
Published Date 1958/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201734
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寄生虫の予防対策の一つとして,寄生虫の集団駆虫ということが行われております.集団駆虫といえば,本来は治療なのでありますが,これを一つの町,村,部落といつた単位の,地域ぜんたいに一斉に行い,そうしたことを繰り返してゆきますと,寄生虫卵の保有率は目に見えて下つて行きます.つまり予防効果が上つてゆくのです.
なぜそうなるか,と申しますと,一つの地域でその全員に一斉に駆虫を行いますと,その地域の寄生虫(たとえば蛔虫)の総数はいちじるしく減少いたします.したがつてその全員から体外に排泄される虫卵の総数がずつと少くなり,またしたがつて,外界にばらまかれる虫卵の密度がそれだけ稀薄となり,そのために感染の危険が薄らいでゆくからであります.
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