特集 精神衛生
小児の精神衛生と保健婦
山本 高次郎
1
1聖路加国際病院小児科
pp.14-17
発行日 1958年5月10日
Published Date 1958/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201629
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小児の精神衛生に保健婦の活動が密接な関係を持つていることは,筆者がここに云う迄もなく読者諸姉が痛感して居られる所と思う.ところが小児の精神衛生とは一体どう云うことをさすのか,近年精神衛生と云う項目が公衆衛生の重要な問題として登場する様になつたが,言葉の内容については各人各様の考え方があつて,必ずしも一致した見解は持たれていない様に思う.子供の肉体を考慮することなく,精神の衛生のみを論じても始まらないことは当然であるが,そしてこのことには誰も異論はないであろうが,往々にして身体の問題をとび超えて精神の問題,心理的問題のみが大きく取扱われる傾向にあることは,静かに反省さるべきことと筆者は思う.教育者は教育者で,心理学者は心理学者で,精神病学者は精神病学者の立場で,小児の心の衛生を論ずるであろうし,それは極めて重要なことに相違はないが,本来は小児の身体の健康を取扱うことを使命としている小児科医や,看護婦,保健婦は,それぞれの立場でこの問題を論じ,この問題に参加する必要がある.勿論,他の専門家の云うことにも,よく耳を傾ける要がある.
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