編集者から読者へ
身上相談
所沢 綾子
1
1編集部
pp.10
発行日 1958年5月10日
Published Date 1958/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201627
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過日,農業改良普及員と生活改善普及員の座談会の記事を読んだ事がありました.その中に「もう我々の仕事は単に農業改良とか,生活改善とかの技術だけでは地区民の中に入つて行けなくなつた.姑と嫁の問題,家族の考え方の問題等々,あらゆる生活の根本問題の解決から放れて技術だけの指導は出来ない.我々に必要なのは生活指導の出来る技術である」と云う言葉にふれて,ここにも全く保健婦さんと同じ事をいう人がいると思いました.いつの時代にもゼネレーシヨンの差はあり,年代による考え方の差はありました.しかし今日程,いろいろの意味で年代による「考え方」の違いのある時代はなかつたのではないでしようか.又男女の関係にしても,お互相手の中に,又自分の中にある封建性に対決しなければなりません.「悩み」というものが非常に表面化に来たとも云えましよう.悩み多い時代ではありますが,それだけに今こそごまかさないで,一つ一つ解決していけば,きつと住みよい時代がやつて来るのではないかと思われます.この「精神衛生」の特集に当つて,「寝繹迦様」を訪れたり,精神衛生普及会を取材したり,街の占い師と話をしたり,はからずも私は悩みの世界にばかり足をふみ入れました.そして生活指導を出来る力がほしい――という生活改善普及員や保健婦さんの気持が大変よく解つたような気がしました.
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