特集 新時代の病院組織
求められる新たな病院部門の姿
医療相談・総合相談部門
堀越 由紀子
1
1北里大学病院総合相談部
pp.47-49
発行日 1998年1月1日
Published Date 1998/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902309
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病院は医療のための施設であって福祉のためのものではないという議論をいまだに耳にすることがある.傷病は今も昔も人々の苦悩や生活上の困難を引き起こす最たる原因の一つであり,それを治療することによって人々の苦悩や困難をやわらげようとする医療は,人々の幸福を目指すという目的において福祉と合致する.確かに,近代医療の発展経過には病院が医学中心の場とならざるを得なかったときもあり,そのなごりからか医療と福祉は別のもののように語られることが多い.
そのためわが国では社会福祉ないし社会事業の部門がすべての病院に設けられているわけでもなく,マンパワーも十分ではない.しかし,ただでさえ人口の高齢化が進み,医学の進歩によって人々の生老病死の営みが医療の場である病院に移行した現代において,傷病によって引き起こされる心理・社会的問題,経済問題の解決を手伝う機能は,病院が用意するべきサービスであり,それにふさわしい組織がしつらえられるべきである.
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