雑誌評
「公衆衛生」
館林 宜夫
1
1厚生省保険局医療課
pp.62
発行日 1957年1月10日
Published Date 1957/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201339
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多くの公衆衛生関係の雑誌は機関紙的性格をもつている.機関紙とまではいかなくても,人の動きや集会,学会,職場の様子などを伝え,苦労に満ちた公衆衛生従来に多少でもいたわりとはげましを与えようという意欲が,多少でも見られる.それに引きかえてこの「公衆衛生」という雑誌は,何ととりすました冷え冷えとした内容であることか.編輯子は霞を喰つて象牙の塔にこもつて,その中から呼びかけているのではあるまいかと疑いたくなる.然しそれでも,時折「明日の公衆衛生を語る」という座談会をやつてみたり「公衆衛生の最近の衰退に絶望感を抱く」或公衆衛生従事者に対し,色色の分野の人々のアンケートを求めたりしているところをみると,公衆衛生を良くしようということを意欲しないで編輯しているとも思われない.よく読んでみると,仲々凝つた内容もあつて,学門上の参考にはなるようだ.
殆んど毎号のように食品衛生,学校衛生,人口問題公衆衛生分野の一つをとり上げて,特輯的に色々の各度から,夫々の専門家の記事をのせている.従つて,その方面の主要な問題は一応要領よくまとめられており,又中には綜説文献的価値のあるものもあつて学門的に資料を求める場合には便利である.
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