講座
鉤虫(十二指腸)虫性貧血
松林 久吉
1
1慶大医学部
pp.18-24
発行日 1957年1月10日
Published Date 1957/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201329
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一般には十二指腸虫と云われているけれどもここでは鉤虫と書く.その方が書くにも話すにも楽であるし,虫体の特徴を表わす点でも適合しているからである.
鉤虫感染に際して現われる症状のうちで最も重要なものは云うまでもく貧血である.それに次いで消化器障害もまた重要な症状である.鉤虫による貧血は低色素性,小赤血球性であることが普通である.即ち赤血球の大きさが正常よりも稍小さくなり,含まれるヘモグロビンの量も少くなる.そうして赤血球数は300万以下に減少することも珍しくない.従つて血色素量は20〜50%に低下し,色素係数は1以下のものが大部分である.
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