原著
九州における鉤虫の分布について
牟田口 利幸
1
1三井鉱山三池鉱業所保健課
pp.613-616
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202047
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戦後の九州における腸管内寄生虫ことに鉤虫については,宮崎ら(1948),永吉ら(1951-2),古賀ら(1951-5),山口ら(1951),岡部ら(1952-5),小村(1952),有田ら(1955),大鶴(1953),河野(1953),大場(1955),小牧(1957)など諸氏の報告がある。九州の鉤虫種別分布に関しては,永吉らが宮崎県南部の広範なる地域で,小牧が宮崎県中部,宮崎らが鹿児島県,古賀らが福岡地方,山口が久留米附近,大鶴,河野,大場が福岡県の炭鉱地方で調査したところでは,おおよそ九州の北部はズビニ鉤虫が優占的に分布し,南部ことに温暖な宮崎県の南部地方にはアメリカ鉤虫が圧倒的に蔓延し,またブラジル鉤虫も寄生していたことが判明した。
著者は,昭和26年3月以降,九州の環境を異にする数地区(都市,農村,漁村および炭鉱地区)の住民を対象にStoll法の検便につづく集団駆虫,屎便培養などを施行し,鉤虫の感染経路を疫学的に追求してきた。今回はそれらの資料を基として,九州における腸管内寄生虫,特に鉤虫の分布状態について報告する。
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