音楽サロン
(2)「歌曲の女王」シューベルト
山本 金雄
pp.58-60
発行日 1956年9月10日
Published Date 1956/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201269
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少くとも,音楽をききたい歌いたいと云う人で,シユーベルトを知らない人はない.
「菩提樹」「野バラ」「アヴェマリア」「魔王」等の歌曲を初め,「未完成交響曲」ピアノ曲で,即興曲に「楽興の時」「鱒の五重奏」等,理屈なしで,きいてたのしめる,美しい音楽許りであります.十九世紀ロシアの大ピアニストで,つむじ曲りのルービン・シュテインは「バツハの気高さ,ベートーベンの雄麗さと共に,シェーベルトの音楽はドイツ音楽の三大巨峰である」といつていますが,実にシユーベルトこそ私達の心に喰い込んで,何の誇張もわざとらしさもなく,そよ吹く風の様に自然に,純粋に,心に感銘を与えます.
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