連載 母と子の試聴室
シューベルト
横山 太郎
pp.47
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203297
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美しくして親しみやすい音楽をつくった作曲家として,シューベルトを忘れることはできません.シューベルト(1797-1828)はウィーンの近くで生まれました.父は百姓の出で小学校の校長をしていましたが,子供が多かったので暮しむきは豊かではありませんでした.少年時代のシューベルトは,ウィーン宮廷礼拝堂の合唱隊をつとめたりしていましたが,その頃から作曲の才分があらわれ始めました.でも彼は正規の音楽教育はほとんど受けていません.
16歳で第一交響曲を作曲,17歳で数々の作曲をつくり,彼の傑作の一つである「糸を紡ぐグレーチヘン」という歌曲はこの年の作であるといわれています.18歳の時に「魔王」や「野ばら」のような不朽の名作をはやくもあらわしています.この間のシューベルトは父の手伝いとして教職についていたのですが,もともと空想的な彼には,小学校の先生という仕事は不向きであったようです.
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