講座
湿気の衛生学
北 博正
1
1東京医科歯科大学
pp.14-17
発行日 1955年6月10日
Published Date 1955/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200961
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俗に湿気というのは空気が乾いているか,湿つているかをあらわす目安であつて,その程度を数的にあらわすには,単に単位体積の空気中に含まれている水蒸気の絶対量によつてはきめられない.(これを絶対湿度という)それには,これとその湿度に於いて単位体積中に含み得る極限の水蒸気量(飽和湿度)との比によつて定まるもので,この比を%であらわしたものを相対湿度または単に湿度といい,これが空気の乾湿の度合を示すものと考えられている.例えば10℃における飽和水蒸気量は9.329g/m3であるものが,気温が21℃に上昇した場合には18.142g/m3で飽和することとなり,10℃のとき飽和状態であつても,そのままの水蒸気含有量で21℃まで上昇すれば,飽和どころかむしろ乾燥した空気(相対湿度=約50%)ということになり,絶対湿度の高低と空気の乾湿とは無関係となつてしまうわけである.
相対湿度は人間の感覚と比較的並行するものであるが,温度が低すぎたり高すぎると無関係となつて来る.また乾湿の程度をあらわすものとして,相対湿度のほかに飽差(その温度の飽和湿度-絶対湿度)があり,物が乾燥して行く程度はこれに比例するとされている.
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