講座
肢体不自由児に關する諸問題
小池 文英
pp.6-13
発行日 1955年5月10日
Published Date 1955/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200945
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1.はじめに
肢体不自由児の問題は,行政的には児童福祉法によつて進められていますが,この法律が施行されたのが昭和22年12月ですから今日まで約7年を経過している程度でして,行政的には比較的新しい仕事ということができましよう.しかも,この児童福祉の施策は,最初の間は敗戦に伴う孤児,浮浪児,不良少年等の問題に焦点がむけられる傾向にあつたのは必然約な趨勢でして,肢体不自由児の仕事が実際に動き出すようになつたのは,昭和26年頃とみてよいと思います.
民間事業としては,高木憲次先生によつて大正年代より先駆的な仕事が推進されて来たのでして,理論的,技術的な面は夙くから開拓され,確立されておつたのですが,大戦その他国家の経済的,社会的事情などから機会が充分熟すに至らず,終戦後まで持ち越されてようやく行政に採り入れられた,といつたようなわけです.
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