特集 子供の衛生と人間形成
綜説
肢体不自由児の問題
小池 文英
1,2
1整肢療護園
2三井厚生病院整形外科
pp.143-146
発行日 1958年3月15日
Published Date 1958/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201941
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1.対象児童の数と種類
肢体不自由児とは「肢体の機能に不自由なところあり,そのままにては,将来生業を営む上に支障を来すおそれのある児童」であると定義されている。要するに,種々なる整形外科的疾患(外傷や先天性奇形を含めて)のために四肢や体幹などの機能に支障を来し,それが社会生活(広義の)を営むのにハンデイキヤツプとなつているか,又はなるおそれのある児童を指すわけである。
ではこのような不自由児の数は全国でどのくらいいるであろうか,というとこの点正確な数字を把むのがなかなか困難である。というのは,不自由となる身体の部位が広い範囲にわたるので見落し易いという点,その原因も種々雑多で単一でなく,且つ年令層によつて異つた様相をとるので,或る特定の年令児を限つて調査を行つてそれを全年令層に引き延すことが出来難いという点,更にまた従来「不具」とか「片輪」と呼ばれていて蔑視の眼でみられていた結果として家人が極力世間の目にふれぬように隠そうとする傾向があることなどが原因として挙げられる。
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