講座
子供の下痢
松見 富士夫
1
1東京大学医学部小児科
pp.12-16
発行日 1954年8月15日
Published Date 1954/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909612
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1.緒言
数ある子供の病気の中でも「かぜ」と下痢は日常最も多いものである。殊に乳児に於ては下痢は早産,先天性弱質及び肺炎と並んで乳児3大死亡原因の一つに位し,特に関心を払われている。厚生省の統計によれば,乳児(1年以下)の下痢による死亡は大正9年には出生1,000に対し27.8であつたが,逐年減少の途を辿り,昭和27年には出生1,000に対し5.2に迄減少してきている。このことは社会の一般衛生状態の向上,並びに下痢の治療法の進歩に負うところが大きいと考えられる。
一概に子供の下痢といつても,およそ満2歳位を境としてそれより年少の乳幼児とそれ以上の幼児とでは大いに趣を異にしているので両者を分つて述べることとする。
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