世界の波
「一つの世界」を作る
末松 滿
1
1朝日新聞東京本社
pp.36-37
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200628
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秋とともに日本を訪れたもの,そしてその收獲の豊かさをたたえられているものは,国際理論物理学会議であつた.
13ヵ国から50数名の権威者が集い,さながら「知識の祭典」をくりひろげたことは,日本学会史上前古未曾有の盛観だといえよう.医学においても,薬学においても,もとより日本は誇るべきものを持つてはいるが,理論物理学の領域にはなんといつても湯川秀樹博士のノーベル賞が輝いているし,湯川博土につづくものに朝永振一郞はじめ,坂田,武谷,渡辺その他.世界に誇るべき俊秀を雲のごとく擁しているのだから,イギリスが来ようが,アメリカが来ようが,ビクとも感じることがない.これが今回の国際会議を,派手に賑々しく迎え得た心理的な要因であろう.
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