講座 2頁の知識
新しいホルモンの話
六城 雅彙
1
1東京大學医学部
pp.32-33
発行日 1953年9月10日
Published Date 1953/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200592
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ホルモンの歴史は1901年高峯讓吉博士が始めて副腎髓質からアドレナリンを抽出することに成功してから今日まで,半世紀を経過しております.この間のホルモンの研究は更に目ざましいもので,1921年にはバンチング及びベストにより,糖尿病の治療に缺くことができないインシユリンが発見され,1930年頃よりは性ホルモンの研究が盛んになり,各種の生理作用や化学構造が次々と明らかにされました.
この間甲状腺や副甲状腺のホルモンも研究きれましたが,近年副賢皮質より分泌される各種のホルモンや下垂体より分泌される成長ホルモンとか他の内分泌器管に作用を及ぼす各種のホルモンの研究が盛んとなり種々の新しい知見が得られました.しかし最近のホルモン界の動向は未知のホルモンが発見されたというよりも,ホルモンの化学が進歩して,各種のホルモンが純粋にしかも多量に得られるようになつたので,新しい生理作用がわかつたり,新しい臨床的応用法が解つてきたことです.
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