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職業としての……看護婦の歩みをかえりみる
田中 寿美子
1
1労働省婦人少年局婦人課
pp.36-41
発行日 1953年2月10日
Published Date 1953/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200458
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看護婦という仕事は,婦人の独占的な職業である.そして,婦人が生涯身につけていて経済的独立に役立てるにふさわしい職業であり,また結婚して子供をうみ,母性を得れば一層,その仕事のし方にゆたかさを増してゆく仕事である.だから,私は,婦人に一番よい仕事だ,と考えている.
それであるのに,一般にこの仕事のよさが認識されていないように思う.戰爭中には,「白衣の天使」とあがめたたえられるのに,平時では,ともすると,昔からの一種の蔑視感を人も,看護婦自身ももつたりするのは,まことにおかしいことである.先日も,ある看護婦さんが私に,「私たち××病院の看護婦なのですけど,みな,自分たちの職業を卑下しているので,向上心がないのでこまつています」と云つた.私は,看護婦のようによい仕事をどうして自分自身が自信をもたないのだろうか,とはがゆかつた.甲種の專門看護婦などは,教員,医師と同格の立派な專門的職業である.乙種看護婦について,格さげ運動がおこつているときいているが,看護婦の仕事の性質を考え,その職業の権威を保つために,現在看護婦をしている人たちは,どこまでも現状を維持しさらに向上させることに頑張つてほしいと思う.
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