講座
醫療社会制度の盲点(下)—国民健康保険は重要である
松尾 友重
1
1国立大阪高等看護学院
pp.33-36
発行日 1952年7月10日
Published Date 1952/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200319
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終戦直後はインフレーシヨンの昂進と戦後の混乱とによつて著しく低いパーセンテージを示している。次第に混乱の收捨と共に保健衞生にさかれる経費も増加して来て一応改善されて来た。然し前にも述べた通りに食費の異常な膨張(正常た国民経済では異常な膨張であるが一般的に国民経済の悪条件下にあつては食費の膨張は必然的な結果である。)は保健費にさかれる経費を犠牲する結果疾病傷害に対して人々は「無力」であると云つても過言ではない。この表から戦前(昭12年)に比べて昭25年が高率であるから人々の保健費利用度が高いように見えるが戦前の医療費(医薬品其他材料費及び診療費)に比較して戦後のそれは実質においてはるかに高率であり従つて,事実においては保健費の分布をもつて一概に判断することは許されないのである。農村の保健費が都市のそれに比して低いことはもとより公衆衞生知識の不足とか農村生活の樣相(生活形式)とかによるものではあるが,より根本的には農村経済の講造が弱いところに起因しているという事が出来るのである。
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