表彰者の横顔
江波こうさん
pp.57
発行日 1951年11月10日
Published Date 1951/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200182
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山形縣から表彰された江波さんは5人兄弟の長女に生れ,18才で母親に死なれ,長男のお嫁さんがみえるまでの3年間母親代りとして家事につくされた。昭和2年から8年まで東京麹町で助産婦をし,つゞいて16年まで川崎の醫院で看護婦をされた。經驗のほうふな方である。
昭和16年に故郷の中村に長い間身につけた仕事で,奉仕しようとして歸省した。そして第1回保健婦の試驗に合格して無醫村である中村に駐在する事となつた。現在中村は人口1800人であるが,たて3里横2里の村に多いところは35軒位から,少いところは3軒位の部落が8つ程ある。生活程度は中流が3分の1あり,養護者が,15,6軒もある。283軒の家の中3分の1はまず生活に心配はないのであるが,工場もなく,交通の便もなく農業以外に仕事のないこの部落では非常に生活に困るので3家族位の部落全部が北海道に移民したりしている。急病人の時など500米位高地の中村から山形まで4里の道をリヤカーでつれて行くという無醫村なので,月に3回役場できめて醫者に來てもらい,その間3回下つて連絡している。
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