講座 よい子を生み育てるための助言
Ⅲ.親子の性格の関係と性格形成に関する基礎知識
高木 俊一郎
1
1九州厚生年金病院小児科
pp.49-52
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202494
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
「3つ子の魂100までも」という.3歳では遅すぎるとの本も出た.最近の精神病学は幼児期の心理的外傷の影響が如何に重大であるかを再確認したし,第二次世界大戦後の孤児たちの実態についてのボールビイ教授の報告をみてもそのことが強調されている.もちろん,性格は3歳で決定されるといってしまえば,その後の教育に対する意欲を阻害される.人間は少しつつでも永久に発達して行くものであると信じたいし,またそれも事実である.50の手習という言葉が,こうとう無形のことでないことも脳生理学的に証明されている.さらに,また人間は自己の欠陥や悪い環境に強められ,深められ,より偉大な人間へとつくられて行く能力をもつことも知っている.われわれはこのような人間の執ような自己保存と自己発展の能力を確信する.それにもかかわらず,やはりわれわれは乳幼児期の影響の重要さにおどろかざるを得ない.
最新の脳神経の生理学が精神の発達に関して新しい知見を与えてくれた.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.