書評
中谷 宇吉郞著—沙漠の征服,他
土井 正德
pp.57-58
発行日 1951年4月10日
Published Date 1951/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200073
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アメリカ西部のネバダ山脈とロツキー山脈との間にある廣大な砂漠の中を流れるコロラド川の水をせきとめて造つたボルダーダムの恩惠によつて砂漠の中に忽然と町が生れ,不毛の地帯には灌漑がゆき屆き,その豐富な雷力は各地に煙突を林立させてゆくその過程を畫いたのがこの本である。
夏は華氏の130度にも昇るという酷熱の砂漠,恐ろしい旱魃と洪永とが入れ代り立ち代りやつてくる,不毛の地帶を征服して近代文明の光に浴せしめるためには決して單なる思いつきだけでは成就されないであろう。筆者の云う如く,こしらえるべく計畫してこしらえられたもの正に而りである。16年間の基礎調査と更に13年間による推進期間の後に着手されたという事は我々に何を教えるのであろうか。
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