特集 性的問題を持つ患者のケア
人工妊娠中絶を受ける10代未婚女性の看護—事例を通してケアのあり方を考える
平野 恵子
1
,
中村 和子
1
,
松元 めぐみ
1
,
影山 初子
1
1防衛医科大学校病院産科病棟
pp.648-652
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922973
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はじめに
近年,若年者の身体発育の促進,早熟化の現象がみられ,さらに性意識や性行動の変化が起こっている.なかでも若年(10代)の妊娠は心身共に負担がきわめて大きいばかりでなく,社会的にも大きな問題であり,その対応の仕方には難しいものがある.看護においてもその10代妊娠の問題に対して,いまからその対応策を考えておくことは必要なことと思われる.
1978年1月から82年6月までの4年半の間に,妊娠のために病院を訪れた20歳以下の患者は,防衛医科大学校病院産婦人科外来において,小児,思春期外来受診者総数557名中71名(12.7%)であった.この中には正常な妊娠経過を経て分娩したものもいる.しかし,大部分のものが未婚,学生という不安定な立場のために,人工妊娠中絶を受けている.不幸にしてこのような事態になった患者に対して,いかに適切な看護をするかは重要な課題である.
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