バイタルサイン・32
急性肺水腫
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター研究教育部
pp.1204-1205
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922884
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肺水腫では,はじめ肺の間質に漿液が浸出し,後には肺胞内へしみ出してくる(図1,2).通常は重篤な左心不全の徴候であるが,心疾患がなくても生じる.その発生機序を図3に示す.最も多い原因は,肺毛細管圧の上昇によるもので,特にうっ血性心不全にみられることが多い.高血圧や弁膜疾患による肺水腫は,近年,しだいに少なくなっており,冠動脈性心疾患や心筋症によるものが多くみられる.
発作性夜間呼吸困難は,急性うっ血性左室不全によって生じるが,患者は寝入りばなに呼吸困難で目覚める.その機序の詳細は不明であるが,①夜間臥位になることで静脈還流が増大すること,②悪夢にうなされる,そして③気管支にたまった分泌物がせき発作を誘発する,などによって発症するものと思われる.また,肺水腫は背景に心疾患があるときに,過激な運動,興奮,感染症,性交,全血輸血,大量の輸液,頻脈1生不整脈,妊娠などによって誘発される.
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