バイタルサイン・18
血圧[3]—コロトコフ音
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター研究教育部
pp.964-965
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922802
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コロトコフ音(K音)による血圧測定は1908年ロシアの外科医コロトコフによって始められたが,駆血帯(カフ)圧を動脈内圧より高めてから次第に下げていく(2mmHg/sec)と,まず音が聴こえ始め(1点),音の強さは軽く叩くように次第に強くなっていく.これが1相である.次いで低いピッチの雑音(ランブル)が聴こえ始め(2点),雑音が続く間が2相である.その後,雑音が消失して音は更に強く,叩くように大きくなっていき(3点),叩打音がピークに達するまでが3相である.次いで音が急にこもったように変調するところが4相(4点)でマフリングと呼ばれ,最後に音が消えるところが5相(5点)である(1表,図1).
通常4相と5相は接近していて5-6mmHg以内の差であるが,血流速度が増すような状態,すなわち運動後,甲状腺機能亢進症,貧血,妊娠などでは大きく開いて5相はOmmHgまで続くことがある.しかし,4相はこれらの影響を受けないので,このような場合には4相を拡張期圧とする.
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