性の臨床・8
精神疾患と性
河野 友信
1
1都立駒込病院内科心身医療科
pp.981-984
発行日 1980年9月1日
Published Date 1980/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922694
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文豪・谷崎潤一郎は,晩年になって“鍵”“瘋癲老人日記”という老人の性を扱った小説を発表して話題になりましたが,老年痴呆の生態をリアルな筆致で描いた有吉佐和子の“恍惚の人”が大きな反響を呼んだのも,記憶に新しいことです.
老化に根ざす痴呆や精神障害のある老人の中には,理性によるブレーキがかからなくなるために,露出的な性行動や本能むき出しの言動をするなど,性的な問題を起こす人が少なくありません.老齢化社会の到来で,老人の精神障害は大きな社会問題となっていますし,過密化した現代のストレス社会は,神経症やうつ病のような精神疾患,また心身症のようなストレス病の増加をもたらしています.
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