特集 援助の成り立ち・2
‘孤’から感応への揺れ—援助と呼応の深層構造を探る
近森 芙美子
1
1横浜市立横浜市民病院
pp.339-346
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922635
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はじめに
最近,ある雑誌を読んでいて,強く心を惹(ひ)かれる箇所があった.それは国立ライ療養所看護研修会に参加したナースたちの模様を伝える池田明子さんの文面であったが,文中,池田さんは次のように述べておられたのである.
──私は会期中,あるひとつの言葉にとりつかれて,まったく身動きできなくなってしまったのである.それは‘気の毒’という言葉であった.‘患者さんが気の毒で……’‘気の毒な患者さんのために……’という言葉が場内をとびかい,その言葉が人びとの口から出るとき,患者さんのことをおもう気持が自然にほとばしり出る感じであった.ともかく,その言葉は,その場で生きていた.ふだんよく耳にする‘患者理解’とか‘共感的理解’というようなスマートなひびきにはない重い手触りが,その言葉にはこめられていた1)──と.
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