やさしい心電図のみかた・2
臨床的意義と正常心電図
高階 經和
1,2,3
1神戸大学
2高階クリニック
3淀川キリスト教病院
pp.197-200
発行日 1976年2月1日
Published Date 1976/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922563
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1.心電図をとればすべての心臓病の診断がつくでしょうか
この質問はいかがでしょうか.答えは‘つかない’です.第1回の“生理と解剖”を読まれた方はお分かりだと思いますが,心臓は‘生体のポンプ’であり,全身に血液を送り出すために一生働き続けています.
今から約70年前にオランダの物理学者であったアイントーフェン(Einthoven)が,心臓の持っている電気的な変化が,いったいどんなものだろうかということを知るために,世界で初めて心電図の記録に成功しました.当時,アイントーフエンの作った心電計は,とても大きくそして重く,1人や2人では簡単に動かすことのできないものだったのです.その理由は,磁石がもちつきに使う‘うす’くらいの大きさであったからです.それが現在では優れた電子工学の技術の導入によって,重さの点でも,また心電計の器械内部の構造や部品の面でも,最近30年間に格段の進歩を遂げ,現在,皆さんが毎日見ているようなスマートな直記式の器械になってきたというわけです.
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