特集 家族ぐるみの援助を考える
思春期の子供を持つ親への援助を考える
天賀谷 隆
1
1関東中央病院精神神経科病棟
pp.1177-1186
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922425
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子供と家族にとっての思春期
思春期という時期は,年齢的に差があるので,ひとまとめにしてしまうことは適当でないが,多くの子供たちの場合,家族の中に“成長モデル”の対象が得られなくなった時,家庭以外の場にそれを求めるようになってくる時期と重なっている.それが,学校という場においての同級生,教師などとの人間関係であり,仲間との集団を形成していくエネルギーにもなってくるのである.それはクラブ活動や,より親密な友人関係を通して発展していくことになるが,暴走族など社会問題化される現象としてみられる場合もある.
子供の成長・発達を支えていく視点から考えてみると,この思春期という時期にある子供たちは,これまで大人(多くは家族)の考え方をモデルにして生きてきたわけだが,これからはたとえ間違っていても自分なりの意見を持ち,考え方をはっきりさせなければならなくなってくるという状況にある.これは,これまでの客観的な思考が中心だったものから,より主観的思考が優位になってきたために自己の考え方がはっきりしてくるからだとも言われている.そして,この状況を周りの大人たちからみると,“反抗期”と映るのだろうと考えられる.
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