特集 飲ませる看護,飲ませない看護—与薬業務における看護の役割
薬物の大量療法における副作用の早期発見と看護
有吉 浩美
1
,
春下 市子
1
,
栗田 小夜子
1
,
横山 庫一郎
2
,
篠原 典夫
3
1国立福岡中央病院整形外科病棟
2国立福岡中央病院
3国立福岡中央病院整形外科
pp.1200-1206
発行日 1987年12月1日
Published Date 1987/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921876
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はじめに
骨肉腫は原発性骨腫瘍の中で最も発生頻度が高く1,2),10歳代に好発し悪性度が強く,従来の5年生存率は10-20%であった.近年,外科的療法に加え,いくつかの化学療法が考案され,治療成績は著しく向上している.化学療法の中でも,メソトレキセート(以下,MTXと略す)大量療法は治療成績の向上に大きな役割を果たしている.当科でもこの治療法を導入し,骨肉腫患者の無病生存率は6か月から6年7か月,平均追跡期間3年4か月で79.0%(Kaplan-Meier法)と良好な成績をあげている.
しかし,MTX3-10)には致命的毒性が潜在しており,安全投与のためには血中MTX濃度動態,排泄動態の把握や,副作用の早期発見が重要である.MTX大量療法に際してMTXの与薬はもちろんのこと,副作用軽減の薬剤を的確に与薬するとともに,24時間継続した監視が必要で,看護婦が患者の異常の第1発見者となる可能性が高く,看護婦の果たす役割はきわめて大きい.したがって,経時的な全身状態の観察と,体温,脈拍,尿量,尿のpH,嘔吐量のチェック,与薬を確実に行なうことが大切になってくる.
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