連載 医のなかの想い—ドクター“のぞみ”の院内日誌・11
ちょっとしたことだけど
小笠原 望
1
1高松赤十字病院第1内科
pp.1116-1117
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921858
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小豆島からの高速艇は左右に島々を見ながら,夕焼けの海を高松へと向かっている.「今日の話を聞いてくれたお年寄りの顔は真剣だったなあ」と快い疲れのなか,私はウォークマンで,サイモンとガーファンクルを聞くことにした.内海町の高齢者学級の開講式に招かれての帰りである.
船が出るまでに,地元の教育委員会の城さんが映画「二十四の瞳」のオープンセットをそのまま残した映画村を案内してくれた,海を見おろす分教場の,木製の二人掛けの机と椅子が懐かしかった,城さんに,「小さい頃高知の田舎もこんなものでしてね,木の廊下を雑巾がけしていて,木の端が指にささってたいへんで」と言いかけて,「昔はタイヒ(大量皮下注射)が大変でと言う看護婦さんと同じレベル.年だなあ」と苦笑いした.
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