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DDS—Drug Delivery System
水島 裕
1
1聖マリアンナ医科大学第1内科
pp.1104
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921533
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DDS(Drug Delivery System)とは,ひとくちに言って,必要な病変部になるべく選択的に薬物を移行させる方法,ま.たそれほど病変集中性がなくとも,正確に薬物を調節,放出するようなシステム,さらにセンサーなどの助けを借り,必要な薬物を調節的に投与することなどを総括している.広く解釈すれば,剤型や投与ルートの工夫で,副作用をなるべく起こさない投与法,作用を強力にする投与法もDDSに入る.それゆえ,すでに使用されている坐剤,腸溶剤,徐放剤,経皮吸収型薬剤などもこれに含まれる.ではなぜDDSなる考えが生まれ,最近急速に進歩してきたかを以下述べてみよう.
薬物が効くためには,薬物が効いてほしい場所にいかなくてはいけない.これはきわめて消極的な孝えである.これから逆に,薬物が効いてほしい所になるべく多く集中し,他の体の部分にはいかない工夫がないかという積極的な考えが生まれてきた.これがターゲット療法の第一歩となった.このような考え方は既に前世紀,1889年Ehrlichによって提唱されている.彼は,病原体や癌細胞に対して親和性の物質とそれに結合した毒素を用いれば,病原体があたかも標的となり.毒素により打ち落とされるのではないかと考えた.
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