綜説—今月の臨床
癌治療におけるDrug Delivery System(DDS)
高橋 俊雄
1
,
山口 俊晴
1
,
萩原 明於
1
Toshio TAKAHASHI
1
1京都府立医科大学第1外科
pp.1427-1431
発行日 1993年11月20日
Published Date 1993/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901419
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癌の薬物治療においては,抗癌剤が癌細胞だけに選択的に作用し,正常細胞には毒性を現さないことが理想である.しかし,これまで膨大な物質のスクリーニングが行われてきたにもかかわらず,このような癌選択毒性をもつ抗癌剤は未だ見いだされていない.
薬物は生体にとって,病巣部位には治癒のために作用するが,他の部位には毒物として作用することも少なくない.すなわち,諸刃の刃である.薬物送達システム(Drug Delivery System,以下DDSと称す)の目的は,薬剤を標的の病巣に選択的に到達させ,かつこれを必要な時間だけ作用させることにある.すなわち,薬剤の標的へのターゲッティング(targeting)とコントロールリリース(controlled release)である.近年の先端技術の進歩によって,DDSは目覚ましい進歩を遂げ,すでに各種の薬剤に応用されている.
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