グラフレポート
病院精神医療を超えて—上秦野病院における解放医療に向けての視点と解放化への歩み
矢野 真二
1
,
解放委員会
1上秦野病院
pp.896-903
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919915
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はじめに
約11年の歴史を持つ当上秦野病院の,最近4年間の解放医療への取り組みにおいて,解放医療の位置づけや基本的な考え方を多くの人々に理解してもらい,良き協力者を増やしていこうと考え,解放化への過程を歴史的視点から,その概略をまとめてみたい.
‘解放化’は,その場限りの思いつきや,一部の細かな問題への批判だけでは決してなく,大きな座標軸をもって展開されていくことが必要である.従って,当院における取り組みの中でも,問題は小さくても,その背景を語るとたいへんな意味があったりすることが多くある.精神医療の中に働く人々と精神障害者との問題は,時間的な流れをしっかりと見すえないと明確に見えてこないものであり,連続性をもってとらえる意味から,以下に歴史的経過を追ってまとめてみたい.
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