グラフ
‘障害者’自身が参加して創り上げる医療—上秦野病院における解放医療への取り組み
矢野 真二
1
,
岩下 守
,
本誌
1上秦野病院
pp.856-861
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919908
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‘病院のより現実的な社会化を!’1971年4月に開院された精神病院・上秦野病院で解放医療への取り組みが始められたのは,今から4年ほど前.それまで全閉鎖であった病棟は,現在75%開放にまで至った.
一口に‘開放化’と言っても,ここのスタッフの取り組みはほかと異なっていた.それは‘病院では病気の管理はするが人間の管理はしない’という考え方から,何事においても‘患者参加’を原則としたことである.まず治療上必要のない病院内の規則や禁止事項に関して,女性の手鏡の所持,料理用の包丁の常備など,1つ1つを患者との話し合いの上で解いていった.病棟ルールも,閉鎖棟を含むすべての病棟で患者が参加して決定されるようになり,開放棟では患者各自がロッカーと鍵を管理している.更にナースステーションを開放し,患者自身の運営による売店・喫茶“つどい”を設置し,そこでの仕入・販売や売り上げ金の使途などすべての決定権を患者自身の手に委ねた.“つどい”では,出前のお兄さんが気軽にコーヒーを飲んで患者と雑談を交していく.
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