特集 医療ボランティア
看護ボランティアとコミュニティケア—‘神大看護ボランティア’13年間の活動を通して
高林 澄子
1
1神戸大学医学部付属病院看護部
pp.639-644
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919572
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看護ボランティアはどのようにして生まれたか
‘神大看護ボランティア’の歴史は今年で14年目になる.このグループがスタートしたのは1968年であるが,その頃,私は看護学校で専任教員をしていた.担当は成人期の看護と小児看護であった.看護という職業は,人生の始まりから死までのすべての期間を対象とする,大変な重責を持つ大切な職業である.専任教員の役割は,看護学生たちにこの大役の重責を十分理解させることと,教師の展開する教育内容を通して,社会の期待にこたえ得るような看護婦に,学生たちを育て上げることであろう.
1968(昭和43)年,私は国立公衆衛生院において1年間にわたる研修のチャンスを得た.この時まで病院勤務を中心にしてきた私には,入院患者への援助活動が看護活動のすべてであった.しかし1年間という長期の研修は,社会の中における看護職の役割や,看護という職業が自分たち看護婦だけのものではなく,社会全体のものであることを気付かせてくれた.その結果,帰院して教壇に立つようになったとき,専任教員の責任の重大さをより一層痛感したものである.
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