特集 時代が生む神経症の子供たち
心因性発熱—その症状の意味するもの—H君の親子関係をめぐって
駒松 仁子
1
,
阿部 まゆみ
1
,
宮下 秀子
1
1国立病院医療センター・小児病棟
pp.418-423
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919523
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はじめに
今日のように社会変動の激しい時代に生きている子供たちは,いろいろな面で時代の大きな影響を受けている.発熱・頭痛・腹痛などを主訴として入院してくる患児の中には,入院と同時にそれらの症状が消失するというケースが少なくない.私たちはそれらの症状の背後に,あるいは底流に何があるのかを見極める努力をしなければならない.
牧田は,患者はこのような症状を訴えること,すなわち,このような入場券を呈示することによって,はじめて医療機構という劇場に入るとして,入場券としての症状について述べている.そして,入場券を示すということは,‘ここに何とかしてもらいたい問題があるんだよ’という信号を送っているということを強調している1).
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