看護者を巻き込んでくる患者への対処—長期間保護室使用を必要とした一境界例の経験から

はじめに

　境界例は分裂病と神経症との境界と考えられているが，近年，対人恐怖症の延長上にとらえられることも多い．ここに紹介する事例は，さまざまな問題行動でわれわれ看護者を手こずらせた一境界例だが，その基本的心性は対人恐怖症に基づくものと考えられる．

　そこでまず，あらかじめ対人恐怖症および境界例についての簡単な概略を述べる．